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「そういえばクールさんって空の色を見たことがある?」
彼女の匂いが定着するまで後二日の朝、彼女は唐突に訊いてきた。
「入れ物越しでなら少しだけあるよ。空って汚い鈍色をしているんだ」
僕らの細胞が記憶している海の綺麗な青とは程遠い、汚れた色をしている。
「ふふふ、本当にアナタは面白いのね」
笑われた理由が分からない。
「どこがおかしかったんだい?」
「本当の空の色はね、凄く澄んだ青色なのよ」
そんなは筈は無い。だって実際僕が見た時はたしかに鈍色だった。
「アナタが見たときはきっと曇っていたのよ」
「曇っていた?なんだいそれ?」
「ふふ、いつかアナタ自身で色々と見てまわりなさい」
「……」
そんなこと不可能なのは彼女だって分かっている筈だ。何でこんな意地悪をするのだろう?
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