見つめ合い

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紙袋に入れられた僕は世界に触れないまま、ただただ揺れる車内でボウっとしていた。 十二回目のカーブを曲がった所で車は止まった。恐らく買い主の家に着いたのだろう。 買い主が僕を家へ運ぼうとしているらしく、先ほどとは違う揺れに身を預けながら視界が開けるのを待った。 少し経って、少々荒っぽく紙袋から出された僕が見た景色は裕福な家の部屋だった。 暖炉が有り、ソファが有り、写真がいっぱい飾られている部屋。 でも僕には一切関係の無いことだ。だから特に何の感情も湧かない。 そんな部屋の持ち主で僕の買い主の女性が唐突に僕を覗き込んできた。 これには流石に驚いてしまい、少し水に波を立ててしまった。 何か言っているようだが、如何せん種族が違うので言語の理解が出来ない。 女性は一通り喋った後にっこりと微笑むと人差し指で僕の横を指し示してきた。 そちらの方に目を向けると、そこにはもう一匹の香水魚が居た
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