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香水魚が水に付ける匂いには個体差が有り、複数匹買う人も珍しくはない。
「あなたも買われたのね」
目の前に居る香水魚が話しかけてきた。
僕たちのコミュニケーション手段は人間と違い、音を使わず体の動きを使う。
だからいくら隔てられていようと姿が見えれば会話は可能だ。
「そうみたいだね」
僕は生まれてからあまり他の香水魚と会話をする機会が無かったため上手く言葉を表せない。
「随分とクールなのね。普通もっと驚いたりするものじゃない?」
買い取り先で香水魚同士で会話が出来るというのは大分珍しいことだろう。
普通ならたしかにもっと驚いたり喜んだりするだろうな。
「僕は特別何も思わないようにしているんだ。その方が楽だからね」
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