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「あの…」 「…え?」  わたしは少し迷いながら、遠慮がちに切りだした。 「先生が高校生の頃、事故に遭ったって聞いたんですけど――。 芝田さん、そのこと、ご存じなんですよね」  芝田さんの表情が、少し硬くなったのが分かる。  わたしは慌てて、 「いえ、そんな、先生のプライバシーに関わること、聞くつもりじゃなくて。 …ただ…。 その時、一緒に入院したクラスメイトがいたって、先生から聞いて…。 その方は、どうなったのかなって、気になって…。 先生には、ちょっと聞きづらかったから…」 「…そう…」 芝田さんは、私の顔をじっと見つめた。 「もしかして、椎名さんは、…春山くんの、特別な存在なの?」 「えっ…」 わたしは首を思い切り横に振った。 「ち、違いますっ。ただの生徒です、ホントに」 言いながら、…すごく分かりやすい反応をしてしまった、と自分でも思った。 「――内緒で付き合ってるの?」 「いえっ、そんなんじゃないです!……あくまで、プラトニックな……その……」  何言ってるんだろう、わたし。  プラトニックとか、そんなこと聞かれてないのに…。  ていうか、  ――プラトニックじゃないし。  一人でそわそわと動揺していると、芝田さんがあはは、と笑いだした。 「椎名さんて、すっごく面白いわね。 何を考えてるか、全部分かっちゃう」 「……」  よく、言われます。
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