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『…お疲れ』
春山先生の声を聞いて、わたしはほっとした。
「お疲れ様です…。…すみません、こんな大変な時なのにメールしちゃって…」
『いや、こっちこそ、すぐ返せなくてごめん。…今、学校も大騒ぎで…』
すでに、時計の針は夜の11時半を差していた。
ニュースを観てすぐに、先生に『大丈夫ですか?』というメールを送ってから、1時間近く経っている。
わたしはベッドの上に正座して、携帯を耳に当てていた。
『これから会議だから、今日はもう連絡できないけど。…こっちは大丈夫だから、心配せずに…』
「はい…ちゃんと、勉強します」
言われる前に言うと、先生が小さく笑う声が聞こえた。
「…先生…」
『ん?』
「遅くまで大変だけど、頑張ってくださいね」
『うん。ありがとう』
「それじゃ、…おやすみなさい…」
『……待って、椎名』
先生の声が、少し低くなった。
『白井さんから連絡あったら、教えてくれる?』
思わぬ言葉に、一瞬返事が遅れた。
「…え…。…どうして…。何か、あったんですか」
『…怪我して、病院に運ばれたらしいんだ』
「…怪我…?」
わたしは思わず携帯を握りしめた。
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