恋人魚

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 彼女は何も言わずに起きあがると、静かに僕に抱きついた。  触れた彼女の皮膚が冷たくて、僕は彼女を抱きしめ返した。  『私を呼んだの?』  抱き合った体勢のまま、か細い声で彼女は尋ねる。  それに僕は頷いて、彼女の瞳をのぞき込む。  『やっと見つけてくれたのね・・・』  彼女の瞳には雫が溜まり、溢れ、流れ出す。  僕はとても綺麗な泣き顔と思った。  何故だか彼女が愛しくてたまらない。  そっと髪を撫でると、彼女が力強く僕にしがみついて、嗚咽を漏らした。  それで、僕は彼女が自分の腕の中でちゃんと生きているという、実感が湧いてくる。  嬉しくてたまらなかった。image=482653981.jpg
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