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彼女は何も言わずに起きあがると、静かに僕に抱きついた。
触れた彼女の皮膚が冷たくて、僕は彼女を抱きしめ返した。
『私を呼んだの?』
抱き合った体勢のまま、か細い声で彼女は尋ねる。
それに僕は頷いて、彼女の瞳をのぞき込む。
『やっと見つけてくれたのね・・・』
彼女の瞳には雫が溜まり、溢れ、流れ出す。
僕はとても綺麗な泣き顔と思った。
何故だか彼女が愛しくてたまらない。
そっと髪を撫でると、彼女が力強く僕にしがみついて、嗚咽を漏らした。
それで、僕は彼女が自分の腕の中でちゃんと生きているという、実感が湧いてくる。
嬉しくてたまらなかった。
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