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結局、朋美のアレンジで六本木のカーディナルという名のカラオケ店で打ち上げパーティーが行われることになった。放課後に校門の前で待ち合わせした女子四人組と晶子、朋美はタクシーに分乗して六本木に向った。カーディナルは六本木でもカラオケの老舗で、その名の通り内装は赤いカーペットが敷き詰められ落ち着いた雰囲気の店だった。
晶子たちは朋美が予約した三階の部屋に通された。内装はやはり赤いカーペットが敷き詰められていた。ソファーも赤皮製で一人一人が肘掛けで仕切られた四角い大作りのものが部屋中央に三脚ずつ相対するように並んで置かれ、中央にガラスの長いテーブルがあった。ドア付近の壁正面に大画面のテレビモニターとカラオケ装置があり、その前に小規模なステージと少し離れたところに小さなモニターが一台あった。さらに、部屋の奥にはクロゼットと試着場があり、クロゼットにはコスプレ用の衣装が揃っていた。
「素敵な部屋ね。テレビも大きい」
晶子は初めてきたカラオケに眼を見張った。
「見て見て、AKBの衣装とかいろいろあるわよ」
快活な斎藤あけみが早速、クロゼットを開けて衣装を取り出した。
「わたしに似合うのがなかなかないわねぇ」
大柄な太田のぶえも衣装をチェックした。
「さちえ、カラオケのチェックも兼ねて、さっそく何か歌いましょう」
策士の中村百合子が歌好きのさちえとカラオケのリモコンを使って選曲を始めた。
「みんな、食事はイタリアンコースを頼んだし、ドリンクは飲み放題だから。エンジョイしましょう」
朋美もカラオケは好きのようだった。晶子はカラオケの経験はなかったが、好きな楽曲はいくつかあったので、みんなについていけば何とかなりそうだった。
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