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耳元に到達した先生の唇が、ぴちゃ、ぴちゃ、と音を立てながらわたしの耳たぶを弄び始める。
「…あ…せん…せ…」
甘い声が、さらに大きく響いたような気がして、わたしは必死で唇を閉ざした。
それでも切なげに息が洩れ、それを聞いた先生は意地悪く、舌を耳の中に這わせ入れた。
わたしが身をよじって逃れようとすると、体重をかけ、さらに奥まで攻めようとする。
「…や…。せんせ……」
掠れる声で訴えると、先生の舌がふっと耳からいなくなり、湿った唇がわたしの唇を塞いだ。
両手首を押さえつけられたまま、先生の舌に口の中を探られているうちに、わたしの身体の奥がぼうっと熱を持ち始める。
――先生……。
頭の中がぼやけ、身体の力が抜け、…耳に届くのは、二人の乱れた息使いと、水音。
それから……。
――電話のベル。
先生が動きを止めた。
宙を見つめ、耳を澄ましている。
「……電話、ですよね……」
「うん」
居間の方から、確かに、電話の鳴る音が聞こえる。
先生はため息をついて、立ち上がった。
「そのまま、待ってて」
そう言い残し、ドアを開け、廊下に出て行く。
……そのまま、って……。
……このまま?
わたしは、仰向けに寝ころんだ状態で両手を上げ、バンザイをしていた。
開いたドアの方から、先生の話す声が小さく聞こえて来る。
顔を浮かせ、自分の身体を見下ろしてみて、わたしはぎょっとした。
スカートがギリギリのところまではだけ、ブラウスはスカートから半分外側に出てしまっている。
慌てて起き上り、乱れた制服を整え、ふう、と息をつく。
……わたしってば、なんてはしたない……。
自分の上げた声を思い起こし、顔が熱くなる。
……とても他人様には聞かせられない……。
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