-3-

16/17
前へ
/37ページ
次へ
「…あっ…あ、あの、せんせ…」 「なに」 じりじりと追い詰められたわたしは、すぐに勉強机におしりが突き当たり、退がれなくなってしまった。 「お義兄…。和真さん、…どうしたんでしょうね」 「ああ、…添い寝してるうちに、寝ちゃったんじゃない?いつもそうだから」 「…でも、…もしかしたら、起きてるかも…」 「起きてたら、降りて来るだろ。…和真がどうかした?」 「いえ…なんでも、ないんですけど…」  逃げ場をなくした私の体を、先生がひょい、と持ち上げ、机の上に座らせた。  両手でわたしの膝をぐぐっと割り、足の間に身体を割り込ませて来る。 「せっ…先生…」 「ん?」 「そんなことしたら…」  ……和真さんに、見られちゃう……。  先生の熱を帯びた瞳が、どんどん近付いて来る。 「あ、危ない…」 「…なにが」 「唇、ぶつかっちゃ…」  そのまま、先生はわたしの唇を塞いだ。  甘く、優しく唇を吸いながら、じれったそうにわたしの腰を引き寄せる。  …ダメ…。  和真さんが…いるんだってば…。先生…。  じっくりと口の中をかき回されながら、ぼうっとした思考の中、うっすらと目を開けると、…先生の肩越しに、そおっとドアの陰から出て来る和真さんの姿が見えた。  こちらを振り返り、ニッと笑って親指を立て、廊下に出て行く。  和真さんの姿が見えなくなってから、わたしは先生の首に腕を巻き付け、甘く吐息を漏らした。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1081人が本棚に入れています
本棚に追加