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のどかは夕暮れの寂れた公園のベンチに腰かけていた。
この公園はのどかの家から近くて、子どもの頃は良く遊びに来ていた。
高校生となった今は、足を踏み入れることは少なくなっていたのだが。
そんなのどかが、何故今になってこの公園に来ているのかというと。
「(…俺のどこが悪いんだ…?)」
つき合っていた彼女に振られたからだった。
のどかは無口だ。背も高く、見た目も悪くない。あまり自分のことを語らないため、ミステリアスな雰囲気が漂っていて、女の子たちに人気がある。
のどかは、彼女がいる間は浮気もせず、誠実につき合っているつもりだった。
でも歴代の彼女たちは、みな同じことを言って別れを切り出す。
「高梨くんって、何考えてるかわかんない。」
「(みんな、俺に何を求めてるんだろう…。)」
のどかはひとより感情の起伏が少ない方かもしれない。
「(でも傷つかないわけじゃないのに…。)」
女の子たちはみな最初にこう言う。
わたしのこと、今はすきじゃないかもしれないけど、嫌いじゃないならつき合ってほしい、と。きっと楽しいから、きっとわたしのことすきになると思うから、と。
「(…やっぱり次からはちゃんと断ろう。)」
のどかはそう決心して、ふと目線を上げた、のだったが…。
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