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雅臣を見つめながら物思いに耽っていると、
~~~♪
携帯の着信音が鳴り響いた。
俺のではない。
雅臣の携帯だ。
「……?」
その音に、雅臣がうっすらと目を開けた。
焦点の合わない瞳を彷徨わせ、スラックスのポケットを漁る。
携帯電話を取り出すと、すぐさまボタンを押して電話に出た。
「……もしもし?……ああ、山岡か…。」
寝起きの声でそう対応する雅臣。
手は繋がれたままで、電話していても離す気配がない。
それがまた嬉しくて、キュッと握った手に力をこめた。
するとそれに反応した雅臣がこちらを見上げ、ふわりと微笑んだ。
「………」
その笑みを見ただけで心臓が高鳴る。
「今? あー……家にはいない。出かけてる。」
電話の相手は、雅臣のクラスメイトか。
俺の時とは違うフランクな喋り方に、胸がチクリとした。
クラスメイトだから、当たり前なのに。
俺の知らない雅臣がそこにいるようで、落ち着かない気分になる。
「明日? 空いてるかって? ……んー、どうかな。特に予定は入れてないと思う。」
明日………土曜日か。
『予定は入れてない』、か……。
…確かに、俺と雅臣は約束するでもなく、こうして2人で過ごしている。
でも俺の中では、何もなければ雅臣と2人で過ごすということが当たり前になってしまっていて。
だから、予定がないと言った雅臣に、
…少しだけ、苛立った。

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