1068人が本棚に入れています
本棚に追加
田辺くんは、まだ口をもぐもぐしながら、次のチーズバーガーの包みを開き始めた。
既にポテトは半分以上減って、単品で頼んだチキンナゲットは、残り一個になっている。
わたしはその食べっぷりに、ぽかんと口を開けて見入っていた。
「…ほうら、いいわふえへはへお」
「…え?」
ごっくん、と口の中の物を飲み込んでから、
「そうだ、言い忘れてたけど。俺、推薦受かったわ」
「えっ」
わたしは驚いてから、思わず小さな拍手をした。
「おめでとう…」
「サンキュ」
ニッと笑って、2個目のチーズバーガーを口に頬張る。
「じゃあ、お祝いしなくちゃね。…放送部のみんなと、それから…」
「ダメだよ、椎名」
田辺くんはそう言ってから、ストローでコーラをちゅうっと吸った。
「え、どうして」
「奈良崎も同じこと言ってたけど…。皆がこれから受験だっていうのに、お祝いなんかしてもらうわけにはいかないだろ」
「あ…。そか…」
「お前らも受かってから、春休みに一緒に盛大なお祝いしよーぜ。…春山先生も一緒に」
「…うん、そうだね」
わたしは笑顔を見せて、紙カップに入ったホットミルクティを一口啜った。
最初のコメントを投稿しよう!