11人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな時に、「理由があるの」と美津は言った。
「何なの、自分をデッサンさせる理由って」
今まで特に接点のなかったぼくに対し、美津の要求は大胆だった。
普通に座った姿から制服のシャツのボタンを緩めた姿、更には襟をはだけてシャツを脱ぎ――今日は、遂に全裸をさらしてぼくに描かせている。
何の理由もないほうがおかしい。
突然、肌を覆った毛布がするりと落ちた。
「み……」
拾おうとしたが、それには取り合わず、美津は掴んだぼくの手をあらわになった胸のふくらみへと誘った。
子供の頃に風呂で見た母の体しか見たことのないぼくは驚き、手を引っ込みかけた。
すると、低く小さく、鋭い語気で美津は言う。
「――触って、ください」
最初のコメントを投稿しよう!