美津とぼく

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 そんな時に、「理由があるの」と美津は言った。 「何なの、自分をデッサンさせる理由って」  今まで特に接点のなかったぼくに対し、美津の要求は大胆だった。  普通に座った姿から制服のシャツのボタンを緩めた姿、更には襟をはだけてシャツを脱ぎ――今日は、遂に全裸をさらしてぼくに描かせている。  何の理由もないほうがおかしい。  突然、肌を覆った毛布がするりと落ちた。 「み……」  拾おうとしたが、それには取り合わず、美津は掴んだぼくの手をあらわになった胸のふくらみへと誘った。  子供の頃に風呂で見た母の体しか見たことのないぼくは驚き、手を引っ込みかけた。  すると、低く小さく、鋭い語気で美津は言う。 「――触って、ください」
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