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美津が部活を休み続けて一週間が経った放課後、ぼくはスケッチブックを手に美津の家へ向かっていた。
とうとう梅雨になり、満喫なんかできない鬱陶しい日常生活に安らぎが欲しくなっていたのだ。
無表情で愛らしい、美津という名の安らぎを。
頑丈そうだといつも思うドアの横の呼鈴を鳴らして、しばし待つ。
熱でも出したのだろうか。
手ぶらじゃなくて、果物とか持ってこればよかったかな――。
一人気まずくなってスケッチブックを抱え直した時、ドアが開いた。
「はい。――あら」
現れたのは美津じゃなくて、きれいな女の人だ。
その人はぼくのスケッチブックに目を止め、微笑む。
「美津の知り合いね。どうぞ」
見知らぬぼくに何故そうしたのかという疑問は、居間に通されてすぐに晴れた。
壁にかかった木製額縁の中に、ぼくが美津にあげた美津のデッサン画が入っていたからだ。
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