アイリスの涙【シルエット外伝】

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ジェスは私を好きではない。 それどころか、妹になったサフィニアと相思相愛ときている。 私は2人のお邪魔虫もいいところ。 「初めて、ジェスに会ったときそのアイスブルーの瞳に惹かれたから。綺麗なガラス玉だなって」 「それは好意ですか?」 「だぶん。でもそれだけじゃないわ。ジェスなら私の為に死んでくれる気がしてきたの。お父様の操り人形で、自分の意思を持たない。そうね、ジェスを理由に死んでもいいと思ったから」 「ずいぶん荒んだ考えですね」 「失恋記念日よ、当然じゃない」 私とジェスの関係が始まったのは、私の婚約者が決まった15の日。 確かに荒んでいたわ。 幼い頃の約束を信じていたのは、私だけって思い知らされたんですもの。 どうにでもなれと思っていた。 「もう帰っていいわよ?ついでにお酒を持ってきてくれるとありがたいわ」 「お心のままに」 一礼してジェスは私の部屋から出た。 なんで、こうも上手くいかないかしらね。 皮肉、としか言えないわ。 私の運命は決まっていると知っている。 そう、1ヶ月も経たないうちに私は死ぬ。 ねぇ……、あなたは私の死を悲しんでくれる?
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