アイリスの涙【シルエット外伝】

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「なんで、そんな国を選んだの?」 「シャーリーがそんなことすると思わなかったっ。この国にいる間は俺だけの姫でいてくれると信じていたかったっ!」 「……っ。じゃあ、あなたの手で女にしてくれればいいのに。婚約なんてさせないでよ!連れて逃げてくれればよかったじゃないっ!」 言葉を聞けば私は声を荒げていた。 死を選んだのは、私自身なのに。 そうと知っていて、ジェスと関係を結んだのに。 責任転嫁もいいところじゃない……。 クルストの手を取り、私の頬へと導く。 「それは、できないよーー」 「酷い人……」 クルストの手に力は籠らず、私の頬からすり抜けてゆく。 それが悲しかった。 でもーー。 「俺は王になるべき人間だ、だが正妃の娘が現れてはそれも叶わない。薄々予感がしていた。いつか死んだはずの正妃の娘は現れて俺の立場はなくなると。わかっていたから焦っていたんだっ、あの紫の真の王家の瞳を目にした時からーー」
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