0人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんで、そんな国を選んだの?」
「シャーリーがそんなことすると思わなかったっ。この国にいる間は俺だけの姫でいてくれると信じていたかったっ!」
「……っ。じゃあ、あなたの手で女にしてくれればいいのに。婚約なんてさせないでよ!連れて逃げてくれればよかったじゃないっ!」
言葉を聞けば私は声を荒げていた。
死を選んだのは、私自身なのに。
そうと知っていて、ジェスと関係を結んだのに。
責任転嫁もいいところじゃない……。
クルストの手を取り、私の頬へと導く。
「それは、できないよーー」
「酷い人……」
クルストの手に力は籠らず、私の頬からすり抜けてゆく。
それが悲しかった。
でもーー。
「俺は王になるべき人間だ、だが正妃の娘が現れてはそれも叶わない。薄々予感がしていた。いつか死んだはずの正妃の娘は現れて俺の立場はなくなると。わかっていたから焦っていたんだっ、あの紫の真の王家の瞳を目にした時からーー」
最初のコメントを投稿しよう!