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「いいわよ、もういいわ……。あなたが腰抜けだってことも知っていた。わかっていたから、素直に言うことを聞いたんだもの」
結局好きな人だから私はこの人に従ってしまう。
まったく損な役回りね……。
ハッピーエンドになんて誰にもさせたくないわ。
させるものですかっ。
だからサフィには悪いけど、ジェスを道連れにすると決めた。
「シャーリー……、ごめんね。弱い人間でごめん」
「そう思うならキスしてよ?最後……、でしょーー」
最後に触れた唇に私は泣いた。
初めて嬉しくて泣いた。
触れるだけのキスなのに満たされていた。
交わることのない運命はどこまで行けば……、繋がるのかしらね?
有り得ないことに思いを馳せながら私は目を閉じた……。
これから死者の国に逝く為にーー。
END.
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