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序章
警察官、それは魚住にとって女にもてる職種だと思っていた。仕事など所轄に任せて自分は胡坐をかいてコーヒーを一杯飲みながらパソコン上のエロ動画を見て、書類も適当に書いて適当に給料をもらえる公務員だと思っていた。
実際、警察官になって二年。所轄勤務をつい先日任を解かれ、本庁の刑事課に配属された魚住は項垂れる。
所轄勤務時は遠い地方で、犯罪も万引きや痴漢などありきたりなもので事件性のあったものは指を数えた覚えがない。つまりはゼロである。そんな魚住の経験浅めな刑事課配属は怒涛なものだった。
都内は犯罪の温床。事件は毎日のように起き、合コンする暇すらなく、日々寝る間を惜しんで殺人事件などの捜査にあたる。半年、彼は刑事課からの移動を課長に申し出た。
それは、思ってもいないほどの重労働と現場の惨事に魚住の心がへしゃげてしまったからである。ついでに思っていた以上に休みがない為女とウハウハできないも含めるが。
他の課への移動手続きは課長に任せたが、彼の新しい赴任先は署内でも有名な窓際課であった。
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