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美紗緒は俺にとったら、脅威でしかない
今さら、お前が居なくなるなんか
そんなこと――。
俺が返事をしなかったからか、美紗緒が諦めたようにそれ以上声を出さなくなった
――違う
美紗緒が段ボールを持ち上げようと、手をかけた瞬間。
身体が、勝手に動いた
――違う、だろ。
五木さんは、美紗緒の異動が気にくわないらしく、ずっと不機嫌で口を閉ざしたまま。
「それ」
「――はい?」
「運んだらいーの?」
「え」
「四課」
俺の声に、美紗緒は静かに頷いた。
なんだろう
社内でただ異動するだけなのに
虚しくてしかたない、この――喪失感は。
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