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「あ、の」
戸惑う美紗緒の声
「飯」
「……」
誤魔化すようにそう呟いたけど、別に飯なんかどうでもいい
一緒にいたいだけ
美紗緒を側に置いておきたいだけだ
「忙しいぞ、あそこは」
「……え」
「お前ごとき」
悔しくて。
――出野さんに、持ってかれたのが納得いかなくて
成田に言っても仕方ないのに、ねちっこい嫌味が口をつく
大丈夫だ、美紗緒は。
どこにいったって、俺なんかよりずっと上手く立ち回れる。
そう。
上手く四課から美紗緒を連れ出して
さっきまで、胸糞悪かったのに。
コイツの声を聞いただけで――
顔が、緩む。
思わず、触れたくて
どうしようもなくて、美紗緒の頭に手のひらを落とす。
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