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モヤモヤする
この気持ちは、なんだろう
「あ、お疲れ様です」
「帰るぞ」
「へ」
「早く」
なんだ、なんだ、と。私も戸惑いつつ
ちょっと助かったかも、と荷物を手にする
「あ、の」
「飯」
「……」
どうにも機嫌が宜しくないその様子に、肩がこる。
あーもう、なんな――
「忙しいぞ、あそこは」
「……え」
「お前ごとき」
……むっ、ちょ
と、見上げたその先にあったのは、
見たこともないくらい、くしゃっとしわくちゃの笑顔。
落ちてきた大きな手のひら。
通いなれた、駅までのみち
こんなふうに、イチさんとここ
歩いたこと、ない。
「お前はすぐ、そうやって離れてく」
――イチ、さん?
「どうやったら、大人しく側にいんの?お前」
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