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恐怖。
やっぱいーや。怖い。
段ボールを持ち上げようと、手をかけた瞬間。
イチさんが立ち上がった。
五木さんは、異動を告げてからというものずっと不機嫌で口をきいてくれないし。
もう居心地が悪いとしかいいようのない、うちの部署。
後ろめたさがないかと言ったら
ありまくる。
「それ」
「――はい?」
「運んだらいーの?」
「え」
「四課」
冷たいその声に。
私は静かに頷いた。
二人、パーテーションを抜け出て、ゆっくり歩く。
「逃げやがって」
ボソリ、と。
呟いたイチさんに、身体がびくついて、恐る恐る見上げた。
その高い位置で。
イチさんは、ちょっとだけ寂しそうな顔をして
笑っていた。
胸が、静かに痛んだ。
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