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「白井くんの身に何かが起こってからじゃ、遅いの。
彼を、守らなきゃ。…そのためなら、私、…何でもするつもり」
「……」
わたしはため息をついた。
「でも…。忍び込むって言っても、鍵も無いのに、どうやって…」
「そこで、…萌ちゃんの出番なのよ」
「えっ…」
「…私の作戦、聞いてくれる?」
レナさんは、真剣な顔で私に手招きをして、顔を寄せた。
「まず、萌ちゃんは、何か理由をつけて、白井くんの仕事場へ行く」
「…はい」
「二人でしばらく過ごした後、タイミングを見計らって、私が外から電話をして、緊急事態を装って、白井くんを呼び出す」
「…はい」
「萌ちゃんは、部屋で待ってると言い張る」
「…はい」
「白井くんが出て行った後、私が仕事場に潜入して、データを探す」
「…はい」
「見つけたら、逃げ出す」
「…はい」
「以上」
「……はい……」
「なにか、質問、ある?」
「まあ、色々と…」
「え、…つっ込みどころがないほど、完璧な作戦だと思ったのに」
「…いえ、…。大筋はいいと思うんですけど…。ちょっと、全体的にぼやけてるというか…」
「どの辺が?」
わたしは頬に手を当て、考えた。
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