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*****  …失敗した…。  わたしはサイクルモノレールのペダルを、必死になって漕いでいた。 「お前…。体力、ないな」 「…だって、…ここのコース、…きつく、…ないですか…」 「たしかに、普通より登り坂は長いかもしれないけど。…それにしたって…」  先生は涼しい顔でペダルを漕ぎながら、呆れ半分、面白がり半分で、わたしの顔を見ていた。  …本当に、失敗、した…。  明らかに、選択ミスだった…。  まさか、…楽しいはずの遊園地に、こんな体力勝負の乗り物があるなんて…。  弱ってしまった先生のために、呑気に景色を眺めながら、おしゃべり出来るものを選んだつもりだったのに。  息が上がって会話どころじゃないし……。 「先生、…体力、…ありますね…」 「お前が無さ過ぎなんだって。若いのに」 「…先生は、…どうして、…歳の割に、…そんなに、…元気なんですか…」 「お前さ…。人を老人みたいに言うなよ。…俺は、ちゃんと朝、走ってるの」 「えっ…そうなんですか」 「雨が降ってなければ、毎朝ね」 「…すごい、ですね…。それが、…長生きの、…秘訣…」 「だからさ…、俺はいったいいくつなんだよ、お前の中で」 「…ちょ、ちょっと、せんせ…今、話しかけないで…」  長い長い坂をやっと上り切ったところで、不意にレールが見えなくなった。 「あれ」  ガクン、と前のめりに揺れたかと思うと、目の前に現れたのは、長い長い下り坂。  しかも、…意外と、角度がきついような…。 「あ」  先生が小さく声を上げたのが聞こえ、わたしもぎゅっと目をつぶると、…二人の乗ったスカイサイクルは、ものすごい勢いでモノレールの上を滑降して行った。
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