-1-

9/10
前へ
/35ページ
次へ
 10分後。  わたしは満面の笑みを浮かべ、ピンク色の馬に跨っていた。  くる、と隣を見て、うっとりと見惚れる。  …先生…。  白馬、似合いすぎ…。  王子は、むすっとした顔で馬の背中に跨っていた。  わたしと目が合うと、ぷいと視線を逸らす。 「先生…」 「なに」 「…写メ、撮っても」 「バカ」  消えていた灯りが一斉に灯り、BGMが流れ始める。  少し間を置いて、メリーゴーランドがゆっくりと回転を始めた。  きらきらと光るシャンデリアが、動きに合わせて揺れ、輝きを増す。  しばし、その美しさに魅入ってから、ふと先生の方を見ると、…案の定、かなり居心地の悪そうな様子で、ポールに掴まっていた。  …めちゃめちゃ嫌がってたのに、…最後には、ワガママ聞いてくれちゃうんだもん…。  …ほんと、わたしには甘いんだから…。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1109人が本棚に入れています
本棚に追加