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「…せんせ。…こっち、見て」
そっぽを向いていた先生が、渋々こちらに顔を向ける。
「…先生、…今日は、本当にありがと」
わたしはにっこり笑顔を向けた。
「…二人きりの初デート、すっごく楽しかった、です」
「……」
先生は無表情のまま視線を逸らし、眉の上を人差指で掻いた。
「また、来ましょうねっ」
わたしの言葉に、先生は、じろ、とこちらを見て、
「…メリーゴーランドは、もう乗らないからな」
「…はい、わかりました」
…そう言ってても、…わたしがダダをこねたら、乗ってくれちゃうくせに…。
「…本当に、乗らないからな」
「…わかりました、ってば」
再びそっぽを向いた先生の仏頂面が愛おしくて、…わたしはメリーゴーランドが回転を止めるまで、ずっとその横顔を眺めていた。
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