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『…大丈夫?萌ちゃん…』
「え、あ、…大丈夫、です」
頭が働かない代わりに、じわじわと足元から、妙な感覚が這いあがってくる。
「えっと…。どうして、そんな風に思うんですか」
『それは…』
レナさんは、そこで言葉を切った。
『萌ちゃん、…一度、会えないかな』
「え…」
『電話じゃ、とても話せないから。
受験生にこんな事お願いしちゃ、いけない事は分かってるんだけど……。
他に話せる人もいないし…』
こんなに切羽詰まったレナさんの声を聞くのは、初めてだった。
「…わかりました。…わたしでお役にたてるかは、わからないですけど…」
『ありがとう、…心強い』
レナさんはほっとしたように息をついた。
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