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***** 紅茶にミルクを注ぎ、スプーンでかき混ぜたところで、自動ドアの開く音が聞こえた。 振り向くと同時に、来客を告げるチャイムがファミレス店内に響く。 ランニングウェアに身を包んだレナさんが入って来て、キョロキョロと中を見回しているのが見えた。 わたしが手を上げるとすぐに気付いて、笑顔でこちらに向かって来る。 「ごめんね、土曜の朝から出て来てもらっちゃって」 レナさんは私の向かいに腰かけると、ランニングキャップを外し、髪を軽く整えた。 「いえ、こちらこそ、こんな時間しか空いてなくてすみません」 「ううん、私はランニングタイムだからちょうど良かったの。…萌ちゃん、塾、何時からだったっけ」 「1時です」 レナさんは時計を見て、 「…じゃ、11時すぎには開放するわね」 と言って、笑顔を向けた。 水を運んで来たウエイトレスにホットコーヒーを注文すると、レナさんはソファに身体を預け、足を組んだ。 「すぐに分かった?このファミレス」 「はい。電車から看板が見えたので」 「そう。良かった、迷わなくて。この辺、道がくねくねしてて、説明しづらかったから、心配してたの」 レナさんは水を一気に飲み干すと、コン、とテーブルの上にコップを置いた。 少し幼く見えるのは、ノーメイクのせいだろうか。 …ほんと、綺麗な人だなあ…。 初めてすっぴんを見たけれど、目鼻立ちの美しさは全く変わらない。
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