-2-

7/11
1110人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「白井さんが、そんなことするはず…」 「待って」  レナさんは慌てて言った。 「もちろん、お金をゆすり取るとか、そういうことを言ってるんじゃないの。  白井くんがそんな人じゃない事は、私も分かってる。 でも…。 彼が何か、大きなスクープを狙っていて、…何かしらの情報を得るために、誰かの弱みに付け込んで、っていうことなら、あり得ると思わない?」 「……」  わたしは考え込んだ。  白井さんの今までの行動を思い返せば、…真実を掴むために、そうやって危ない橋を渡ることは、充分想像できる。  そう思うと、じわじわと焦燥感に襲われ、わたしはつい早口になっていた。 「もし、白井さんがそんな危ないことしてるなら、止めなきゃ。レナさん、そのこと、白井さんに直接言ったんですか」 「…もちろん、言ったわよ。だけど…」  レナさんは、言いづらそうに口元を歪めた。 「逆に、怒られちゃって…」 「怒られるって…どうして?」 「うん…。…そもそも、私がこのことに気付いたきっかけっていうのが、問題で…」  レナさんが、しょんぼりとうなだれる。 「私、白井くんの仕事には、一切口出ししないし、首を突っ込まないって約束してるのね。 …それなのに…。 この間、仕事場を掃除してる時に、つい、聞いちゃったのよ。チカチカしてたから、気になって…」 「…何を、ですか」 「留守電…」 「留守電?」  白井さんの仕事場に、FAX機能のついた大きな電話機が置いてあったことを思い出す。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!