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そして食べ終わってしばらくしたら。
トオノさんの様子がおかしい。
体育座りで首を傾げて、じいっと見てくる
「ビクターの犬...」
あー。ダルメシアン柄可愛いなあ。ダルメシアン柄のハラコの靴どっかで見たっけ。
トオノさんもダルメシアン似合いそうだなあ。
「俺、今日見たバンドがカッコよくて、ちょっとへこんでたぽい。」
膝に頭をくっつけて、ボソボソと言う。
「一人でそのまま帰るの嫌だった。
ありがとう。」
へこんでたのか。
「こちらこそ。甘いものありがとう」
ふふ、と目を合わせて笑う。
「私、作業しますけどどうしますか。」
「なんか作るの?見てていい?」
「いいっすよ。何か飲みますか?」
「...ん。だいぶ酔ってるから酒以外もらえる?」
えーっと。
「リツカちゃん?」
「はは。」
「あれ、度数いくつよ。」
「20%ちょいかな?水と炭酸水とウーロン茶ありますけど。」
「水」
ミネラルウオーターとグラスを持ってくると、上目遣いで睨まれた。
「もう、酔わせてどうするつもりさ?」
なんだコレ。
「確信犯の上目遣いやめて」
自分用にハイボールを作る。
ちょっと飲んで、濃いので水を足す。
紙を広げて、資料に付箋を貼っていく。
一区切りつけて、毛糸と編み針を手に持つ。
続きから、編み始める。
「手動かしてるけど話出来ますから」
「うん。見てるの面白い」
「ほんとに酔ってるんですか」
「うん。かなりね。君はお酒強いね」
『お酒強いね』
何度も色々な人に言われた。
「で、本当にお酒が好きだね」
そう言われて嬉しくなった。
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