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「りっちゃんはさ、何で物作ってんの」
素面の時に聞かれたら、ちょっと困る。
「...なんでだろうね。服が好きっていうのとも違う、と思う。」
「そうなの?楽しそうじゃん」
「うーん。ウチの学校には、服専門の子もいるのね。その子たちは服を商品にする事をどこかで考えてるから、流行とかバランス感覚とか、コスト意識とか。そういう感じ...うまく言えないや。私は、自己満足なんよね。
多分、服以外のほうが向いてる。作ってる時も楽しい。」
プレーヤーからは、新しい曲が流れた。
「自己満足か。
でも、作ってる側が満足してなかったら、伝わるわけ無いと思う。
あ、オレの音楽の話になってっけど。
人を惹きつけるのに、理由はいらねーのかもな。」
「なんか抽象的な話になってきたねえ。」
「そうだねえ。オレ苦手。」
「そうなん?」
「うん、本ほとんど読まねえから、作詞に毎回苦労してる。手持ちの言葉が少ないの。
いつも曲が先に出来るんだけど、オズは詩も同時に浮かんだ。りっちゃんの説明がよかったんだと思う。全部出来てないけど」
そう言われて、嬉しくなった。
部屋に戻ると告げた。
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