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ピンポーン。
グラスを玄関に置いて、覗き穴から見ると、トオノさん。
開けると、
「やあ。」
と手を振られた。
「何ですか」
もうボーダーではなく、グレーのスウェットを着ている。下は同じ赤い紐パンツ。
寛いでるのか、どうだかわからない。
「ご飯まだ?」
頷く。
「今、大根を切りかけたとこ」
「君は、帰ったら着替えよりメイク落とすより酒なの?」
カボスの浮かんだグラスを見て笑われる。
「料理ってエネルギー要るから。ガソリンみたいな?」
「三階に、僕の知り合いが居て、実家から秋刀魚送ってきたらしいのね。食べに来いって。行かない?」
「秋刀魚ですか」
「一人暮らしに魚って、やっつけるの困るでしょ。とりあえず全部焼いたらしいから、貰うだけでもどう。」
「じゃ、何か持っていきます。」
「うん、大根持ってきて。助かるって言ってるから。」
え、もう大根決定ですか?私が断るとか思わないのかな。
「あ、カボスありますよ。」
大根を渡し、カボスをポケットに入れる。
グラスを持つ。
「持って行くんだ。」
「お酒の神様に悪いから」
「女の子ってもっと支度に時間かかると思ってたよ。」
「朝は基礎工事からですからね」
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