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長閑な日には、外に出たいと思う――。
そんな事をふと思った。
「……外、か…」
何故急に外に出掛けたくなったのか、それは判らない。それでも今きっと外に出なきゃいけない…そんな気がしていた。
――…どうしたものかね?
一応考えてみるが、結局のところ外出する気満々なんだけど…。一応は考える素振りを見せてみる。
「――ふふ♪さぁて、今日は何か善い事ありそうだな…」
******
長閑な日に森の中へと出掛けるのは、何かと善いものだとそう思える位この日は僕にとって、心安らげるものだった。
「う~~んっ!!気持ちいい位静かだね♪」
大きく伸びをし、辺りを見回した。
そよそよと風に揺れる草木に花々――。
「……これは最高だね」
そのまま風に髪を遊ばせ、道行くままに突き進んで行く。
多分…この時には既に何かに惹かれていたのだろう。
少し行くと、大きな湖に出た。
美しく煌めく水面に、太陽が反射して神々しいまでの光りを放っていた。
「――…へぇ…。こんな森にこんなに美しい場所があったなんて…知らなかったなぁ…」
歓声を上げる僕の耳に、小さな水音が聴こえた。
「?」
僕はゆっくりと音のした方に視線を向けると、そこには湖に浮かぶ一人の少女がいた。
僕は、我が目を疑った。
何せ、人が湖に浮かんでいるんだ…。こんな有り得ない光景を目の当たりにしたら誰だって言葉を失う。
「――っ?!」
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