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その代わりに、朱華は僕の質問に頭を悩ませていた。
それがまた可愛くて、僕は笑いながら朱華を眺めてた。すると朱華は、ぱっと顔を上げた。
「僕ねー、金平糖が好き♪」
にこにこ嬉しそうに笑う朱華に、穏やかな気持ちになる。
「そう。じゃあ、今度逢う時にでも手土産に持って来るよ」
「…え?いいの?!」
「ああ」
「やったー♪♪」
「朱華は子供だねー。金平糖が好きなんて…」
凄く喜んでいる朱華に、僕は小さく笑った。すると、朱華は僕に顔を近付けて無邪気な顔で云った。
「何で?金平糖はスッゴく美味しいんだよ??リノンは嫌い?」
「――っ!…そ、でもない…かな?;;」
正直焦る…。
初めて逢ったとはいえ、初対面の子を可愛いと思い、話をする事にもなって…。そして――…こんなにも愛おしく感じる…。
「――…キミは…」
「ぅん?」
「――…何でもない」
僕は今、何を云おうとしているんだ…。
まだよく知らない子に…危うく口にしそうになった。
――…キミは、…僕のモノになる気はないかい?――
こんな事、訊ける筈がないだろ…。
なのに…、彼女があまりに可愛いくて、愛おしくて…思わず訊きそうになった。
「…リノンはさ、僕を見て…驚かないの?」
「…ぇ?」
朱華は膝を抱え、小さくなりながらそう訪ねてきた。
僕は朱華を凝視した。
「…僕が誰だか知らないのに…。リノンはこうして話しているんだよ?」
「………」
どこか寂しそうにしている朱華に、僕は胸が苦しくなり思わず朱華をその腕に抱き留めていた―――…。
「…ぇ?り、の…!」
「…っ…キミは朱華。それだけで十分だろ?」
朱華は僕の腕の中でじっとしていた。
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