第1話

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その代わりに、朱華は僕の質問に頭を悩ませていた。 それがまた可愛くて、僕は笑いながら朱華を眺めてた。すると朱華は、ぱっと顔を上げた。 「僕ねー、金平糖が好き♪」 にこにこ嬉しそうに笑う朱華に、穏やかな気持ちになる。 「そう。じゃあ、今度逢う時にでも手土産に持って来るよ」 「…え?いいの?!」 「ああ」 「やったー♪♪」 「朱華は子供だねー。金平糖が好きなんて…」 凄く喜んでいる朱華に、僕は小さく笑った。すると、朱華は僕に顔を近付けて無邪気な顔で云った。 「何で?金平糖はスッゴく美味しいんだよ??リノンは嫌い?」 「――っ!…そ、でもない…かな?;;」 正直焦る…。 初めて逢ったとはいえ、初対面の子を可愛いと思い、話をする事にもなって…。そして――…こんなにも愛おしく感じる…。 「――…キミは…」 「ぅん?」 「――…何でもない」 僕は今、何を云おうとしているんだ…。 まだよく知らない子に…危うく口にしそうになった。 ――…キミは、…僕のモノになる気はないかい?―― こんな事、訊ける筈がないだろ…。 なのに…、彼女があまりに可愛いくて、愛おしくて…思わず訊きそうになった。 「…リノンはさ、僕を見て…驚かないの?」 「…ぇ?」 朱華は膝を抱え、小さくなりながらそう訪ねてきた。 僕は朱華を凝視した。 「…僕が誰だか知らないのに…。リノンはこうして話しているんだよ?」 「………」 どこか寂しそうにしている朱華に、僕は胸が苦しくなり思わず朱華をその腕に抱き留めていた―――…。 「…ぇ?り、の…!」 「…っ…キミは朱華。それだけで十分だろ?」 朱華は僕の腕の中でじっとしていた。
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