0人が本棚に入れています
本棚に追加
だから僕は腕の力を強めた。
朱華を…、離さないように…。
「――キミが好きだよ」
「――っ?!」
朱華は、ギョッとした様に僕を見上げた。
朱華の円らな瞳が更に見開かれる。
「…何も云わなくて良いから…。ただ、戯れ言だと思って訊いていて欲しい…」
「………」
「僕はキミが好きだ。一目惚れだったんだ」
僕に真っ直ぐに向けられる朱色の瞳。
僕は愛おしくなり、無防備の朱華の唇に触れるだけの接吻をした。
驚きに見開かれる瞳に、僕は可笑しくなり吹いてしまった。
しかし、もう一度朱華に告白をする。
「――好きなんだ」
未だに朱華は呆然としている。
「…云わない…つもりだったんだ…。けどね…。キミがあまりに可愛いからつい、ね…?」
「……ぁのさぁ…」
「…ん?」
やっと口を開いた朱華に、愛おしさが増した。僕は黙って朱華の話に耳を傾けた。
最初のコメントを投稿しよう!