第1話

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だから僕は腕の力を強めた。 朱華を…、離さないように…。 「――キミが好きだよ」 「――っ?!」 朱華は、ギョッとした様に僕を見上げた。 朱華の円らな瞳が更に見開かれる。 「…何も云わなくて良いから…。ただ、戯れ言だと思って訊いていて欲しい…」 「………」 「僕はキミが好きだ。一目惚れだったんだ」 僕に真っ直ぐに向けられる朱色の瞳。 僕は愛おしくなり、無防備の朱華の唇に触れるだけの接吻をした。 驚きに見開かれる瞳に、僕は可笑しくなり吹いてしまった。 しかし、もう一度朱華に告白をする。 「――好きなんだ」 未だに朱華は呆然としている。 「…云わない…つもりだったんだ…。けどね…。キミがあまりに可愛いからつい、ね…?」 「……ぁのさぁ…」 「…ん?」 やっと口を開いた朱華に、愛おしさが増した。僕は黙って朱華の話に耳を傾けた。
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