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どうしてかしら。喉を鳴らすように言う声は誰に問いかけたものでは無いように思えた。ただ私から反らした視線は何か違う者を捉えている。冷たく暗く。凪は憎しみより深いものでそれを見つめている気がした。
――微かな笑顔を浮かべながら。
「え?」
ゆっくりと静かに足音が響く。それは私のでも、凪のものではなかった。
「それは、何を意味するのかしら? ――芹」
声に――その歩いて来る少女はゆったりと口許を歪めて見せた。
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