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 私は愛想浮かべ軽く笑い手を振りながら疲れを吐き出すようにため息一つついた。そういえば誰かと学校で昼食を食べたのっていつぐらい前だろうか。と考える。入学した当初はまだ誰かと話したような気がするのだが。なんか悲しいくらい女子にモテ始めてから誰も寄り付かなくなった。  ある意味陰口に近い形で噂話をされているような気がするが、恐いのでネットには繋げない。ある意味泣きたくなる。ただそんな事ぐらいで泣くこともできないのも事実だけれど。 「……ったく」  私は一番小さなお弁当の包を解いて蓋を開けた。――今日はキャラクター弁当のようだ。私はアニメを見ないので分からない。なんだかクマを模した可愛らしいキャラクターがウインクしている。  不覚にも思わず微笑んでしまった。実の所、私は『かわいいもの』が好きだったりする。  それにしてもと、いつも思うのだが、一体どれほどの時間を使って彼女らはこれを作っているのだろうか。しかも朝早くから。やはりそう思うと突き返すことなんてできない気がする。そんな事を考えながら私は端にある卵焼きを土に含んだ。 「んん」  思わず私の口から零れて落ちる感嘆。甘くも無く辛くも無く。出汁がよく効いている。やはりいつもおいしいのだ。頬がとろけてしまうようだった。心の中にあった憂鬱が吹き飛んでしまいそうなほどだ。  私は案外簡単なのかもしれない。苦笑を浮かべる。  そんな折、軽い着信音がして私は携帯を取り出した。  ――晃子からだ。  『今村 晃子』彼女は隣に住んでいる小学生からの幼馴染だ。親友なのだと私は思っているのだが。どうなのだろう。よく愚痴を聞いてもらったりしているのだが彼女からはそんなことなど一つも聞いたことが無い。だから時々本当に親友なのだろうかと不安にさえなる。それが性格であることは十分に分かっているのだけど。『親友なの』と聞いたところで今更否定などされないだろうが、不安はどことなく拭う事が出来なかった。  晃子は物静かでとても優しい。美少女だったが一度だってそんな事など鼻にかけたことなど一度だって無かった。知っている限り人に好かれている。
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