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彼、宮井透に初めて会ったのは、初等部一年の時だった
周囲に溶け込めず、クラスでも浮いていた彼に一番に話しかけたのは僕だった
強く振る舞う姿には心を打たれたが、それ以上に彼の穏やかな温もりに驚愕した
護衛対象の家庭環境や交友関係は知らされていたが、どう考えても他者を信用してニコニコなんてあり得ない、そう思ったからだ
元々、人を惹き付ける方だったのだと思う…
瞬く間に人気者となった彼に僕の必要性はなくなっていた
そして周囲に人が増えたため、より一層警戒する必要があった
これでは仕事に不都合をきたす、と父上に言われ、彼の側から離れることにした
この時、僕は心の中の狂おしいほどの感情に気づいていながら、気づかないフリをした
『仕事だったから仲良くしていた』
最低な言葉と共にに僕を親友と慕う透との関わりを絶った
伝えたい想いは全然違うのに…
そんな傷付いた顔をさせたのは──僕だ
それ以来、作り笑いしかしなくなったのは…───僕のせいだ
だから僕には君を思う資格はない
せめて、幸せになって欲しい…僕のことなんか忘れて…
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