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〈生徒会室〉
コの字型の四階建て校舎。
その最上階、向かって左側部分が生徒から選ばれた者に与えられた、いわゆる生徒会室である。
ほとんどの生徒が勉学に励む昼休み一時間前頃、この部屋の机に空きは見当たらない。
デスクは質の良さそう木製のものを、椅子はどれもリクライニングできる上質なものを使用。
生徒会室の住人は各々のデスクに向かいパソコンのキーボードを叩く。
誰一人として口を開く者はいない。
フッと一番奥のデスクの青年が顔をあげる。
「来週、転校生が来るらしい。」
決して大きくはないその声はキーボードを叩く音しか聞こえない室内によく響いた。
この声を発した青年こそが会長の葉山潤である。
「微妙な時期に来るね~。」
「そりゃ、きっと問題児だもん。」
会長の声にいち早く反応したのはかわいらしい容姿の双子。
庶務の鹿波陽翔・愛翔。
「新入生歓迎会が迫るこの忙しい時期にわざわざですか。」
口ではそこまで酷くはないがその表情からはありありと怒りの色が見えるのは副会長の宮井透。
「…来週…?」
途切れ途切れの言葉に大きな体を持つ書記の花村惣次郎。
そして…──
「新歓まであと一週間だけど~、転校生君はいつぐらいに学園にくるの~?」
間延びしたしゃべり方、いかにも軽そうこの青年が今回の主人公、会計の内海遊。
以上が今期の生徒会メンバーである。
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