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鹿波陽翔(双子兄)side
前を歩く弟を見てつい緩む口元
俺の手を引いて早足で歩くマナ
周りからはいつもと同じ愛らしい姿だが、俺から見れば明らかな興奮が見える
好奇心旺盛で天真爛漫
昔から、明るい愛翔が好きだった
いつからだろうか…
この感情が歪な執着に変わったのは…
何もかも一緒じゃなきゃ嫌だって思うようになったのは…
「見てみてハル、ちっこいのが走ってる~!…あっ、転けた」
ときゃいきゃいしているマナにいとおしさが溢れる
男同士だから、兄弟だからって諦めようとしても出来なかった
告白して今までの仲のいい双子でいられなくなるのが怖くて、打ち明けられないでいる
──ねぇマナ?俺はマナのことが一番好き……大好き
──
─
伝えることの叶わない想いは熱い眼差しだけを残す
「なんか言った、ハル?」
と小首を傾げて言うマナに
「んーん、何にも。ねぇ、あっち、行ってみない?」
と悟られないよう振る舞うので精一杯
「そっ?ならいいや。行こう」
愛翔は再び陽翔の手を引く
さっきと違うのは陽翔が同じように無邪気な笑顔を浮かべて走っているところ
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