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そんな中、小さく音を立てたドアが来客を知らせる
入ってきたのは中性的な美しさを持つ少年だった
こういった場面には似つかわしくないような気品ある少年、ということもあり風見を助けを求めるべく叫ぶ
「なぁ、この縄どうにかしてく…」
風見が言い切らないうちに容赦なく腹部を蹴りつける
容姿からは想像もつかないような冷たい視線を向け、小さく
「黙れ」
と声を発する
その声は酷く冷たく、恐ろしいが…、酷く美しかった
腹部を蹴られ、コホコホと咳き込む風見を無視し、美少年、乃木は胸ぐらを掴むと勢いよく立たせる
縛られた足にバランスを崩し、少し背が高い乃木にされるがままとなる
「我々副会長の親衛隊一同は転校生、風見真樹への制裁を可決。これより制裁を執り行う」
高らかに宣言するのは乃木の性格故か…
モジャモジャの髪の隙間からは風見の顔が青ざめていくのが窺える
そんな様子の風見に一人、乃木は口元をニヤリと緩める
男達は2人の様子を眺め、静観する
この場所に、風見を助けようなんて思う者は誰一人いない
そう、……今、は、
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