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自分の腕の中にいるまきを見つめながら強く抱き寄せたスーフェルは、満足げな笑みを浮かべながら誰に聞かせるわけでもなく呟いた。
「……初めまして、マキ様。僕らはずっと君を探し、こちらに帰ってくるのを待っていたんだよ……?
君はこの国の『女王』となり、僕らが仕える主になるべきお方。
今の女王ちゃんは何があっても、僕らから遠ざけたかったんだろうけど残念だったね?
僕らは決して次の女王を手放さない。
というか、残念だけど女王は僕らからは逃げられない運命って最初から決まってるんだ……。
まあ帰ったら女王ちゃんから大目玉を食らうのは目に見えてるけど、これは陛下からの命令だから逆らえないんだよね……。
というか、元々悪いのは女王ちゃんだよ。
僕らだってそこまで固くないって言うのにさー。ね、二人もそう思うでしょ?」
顔だけ後ろに向けて話を振ると、後ろで間合いを取ってにらみ合っていた二人はたちまち固まった。
「ねぇ、ちょっと。また喧嘩ー?
本当にいい加減にしてくれるかい?それで、君達はどう思う!」
「そ、そう言われましても、我々は陛下の命令に従うだけです。陛下さえ許すとおっしゃるのであれば……」
「そうかしら?そもそも陛下が意地を張らなければこの吹雪が吹き荒れる中、マキ様を迎えに行くことどころか、こんなことで意見の食い違いが起こることもなかった。
スーフェル様、違いますー?」
クェルが肩をすくめながら呆れたような口調で呟くと、横にいたオーブは眉を顰めてあからさまに見下すような目でクェルに喧嘩を売るように睨みつけた。
クェルは嘲り笑うようにオーブを見上げているが、明らかにそれは相手を見下す行為であるのは誰の目から見たとしても明白だった。
あっという間に一触即発の状況に悪化していくその状況に、少し離れた場所でまきを抱きしめているスーフェルは絶対零度の声音で一つの通告を出した。
「二人とも、喧嘩はやめなさいって何度言ったら分かるんだい?
猿でも学習するというのに君達は猿以下?
……できの悪い猿にはやっぱりお仕置きが必要かなー?」
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