第1話

6/13
前へ
/102ページ
次へ
大粒の涙がぽろぽろと大きな瞳から堰を切ったように溢れ出し、すすで黒く汚れた頬を幾筋ものの涙が流れ落ちていく。 泣いたせいで赤みを増した顔はクシャクシャに歪み、小さな嗚咽をあげていた。 三人はまきが泣き出した理由どころか自分の事を「バケモノ」と呼ぶ理由すら思い当たらずに声をかけづらそうに口ごもっていると、まきはやけになったかのようにくるくると回りながら再び三人と少し距離をとった。 「私は孤児院で一緒にいたみんなとは違うの。手はずっと冷たいし、こんな変な色の髪だし、私が一緒にいるとみんながよく怪我するし……。 それに今日は体の奥の方が熱くなって、よくわかんないうちに周りに大きな氷がいくつもできて、みんなを怪我させちゃったの。 それが怖くて、何が分からなくて……。なんでこんなことがおこるの?もう私、わかんないよ!」 そのまま崩れ落ちるように座り込むと、涙を拭うこともせずにただひたすら虚空に向かって泣き叫んだ。 取り繕う様子などなく声が出る限り泣き叫び続けると、泣きすぎで赤く虚ろな瞳で三人をぼんやりと見つめた。 「こんな私なのに、何で助けてくれたの?どうせなら、そのままほっといてくれた方がよかった!私なんて生まれてこなきゃよかった……」 「そんな悲しいことおっしゃらないでください、マキ様。 ……いや、この場合はまきって呼んだ方がいいのかな? ねぇ……まき、僕らの話を聞いてくれるかい?ほんの少しでいいんだ」 「話って?」 スーフェルは嬉しそうに表情を緩ませてゆっくりとまきに歩みより、まきが手を伸ばせば届く距離まで近づくと寒さなど感じていないかのか雪の上に腰を下ろした。 「まき、よく聞いてね?君はバケモノなんかじゃない、間違いなく人間だよ。僕が保証する。 君が変な色って言ってたその髪の色は、僕らにとっては特別な色なんだ。 それにほら。僕だって同じ色だよ?誰に言われたか知らないけど、そんなに綺麗な髪なのに変な色なんて言わないで」 「本当に?本当に、そう思うの……?」
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加