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「ちょっと、昌秋うまいじゃん」
「だって、中学バスケ部だったよ」
「うそー、知らなかった。野球とかかと思ったわ」
女子達が、ステージ側のコートで活躍する昌秋に、視線を集めた。
「シュート~!と、見せかけて~の~!?
パース!昌秋、パッス~!!」
「ハル、うっさいねー試合中も」
「あ、リクも上手いよ。あっちコートの。さとやんも上手いね」
「リクはなんでもできんじゃん。あ、さとやんシュートしたよ。
今の、スリー?スリーじゃないの?すごいじゃん」
見慣れた男子達でも、やはりスポーツをする姿は、かっこよく見えた。
「うわぁ、うわー・・・
リク君すごい!さっきから、シュートしてるよ!」
桜も、鳩美の横で試合に釘付けになっている。
鳩美は、携帯片手にちらりとコートに目をやった。
「ん、そーだね」
「うわぁ、みっちゃん今の見た?!
おーい、リクくーーん!」
「呼んじゃダメっしょ、試合中は」
「そうなの?!
ごめんねーー!リクくーん!」
リクは嬉しいやら恥ずかしいやらで、口に人差し指を当てて、桜を振り返った。
「ねぇ、みっちゃんもバスケ上手なの?」
「んー・・・べつに上手くないけど」
「そうなの?だけど、シュートしてそうに見えるよ」
「そー?・・・ま、やってたけどね。小学生ん時」
「やってたんだ!すごい!すごいね、楽しみ!」
「いや、何年も前の話だから」
(・・・この子、よくわかんないけど変わってんなー。
純粋っつーかなんつーか・・・
リクの知り合いにしちゃ、稀な"いい子ちゃん"じゃん)
鳩美は、物珍しそうに桜の横顔を見ていた。
(・・・何かしんないけど、懐かれてるしね)
ま、いいけど。と、鳩美は思った。
試合が終わると、リクはチームとガッツポーズを交わし合っていた。
「すごいね、リクくん!
とっても、カッコよかったよ!」
「おー・・・そうかよ」
「お前も、頑張れよ」
「うん!」
桜の初体育は、格別活躍したわけではなかったが、とても楽しんでいたのが見て取れたので
リクはとりあえずほっとした。
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