第1話

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「ちょっと、昌秋うまいじゃん」 「だって、中学バスケ部だったよ」 「うそー、知らなかった。野球とかかと思ったわ」 女子達が、ステージ側のコートで活躍する昌秋に、視線を集めた。 「シュート~!と、見せかけて~の~!? パース!昌秋、パッス~!!」 「ハル、うっさいねー試合中も」 「あ、リクも上手いよ。あっちコートの。さとやんも上手いね」 「リクはなんでもできんじゃん。あ、さとやんシュートしたよ。 今の、スリー?スリーじゃないの?すごいじゃん」 見慣れた男子達でも、やはりスポーツをする姿は、かっこよく見えた。 「うわぁ、うわー・・・ リク君すごい!さっきから、シュートしてるよ!」 桜も、鳩美の横で試合に釘付けになっている。 鳩美は、携帯片手にちらりとコートに目をやった。 「ん、そーだね」 「うわぁ、みっちゃん今の見た?! おーい、リクくーーん!」 「呼んじゃダメっしょ、試合中は」 「そうなの?! ごめんねーー!リクくーん!」 リクは嬉しいやら恥ずかしいやらで、口に人差し指を当てて、桜を振り返った。 「ねぇ、みっちゃんもバスケ上手なの?」 「んー・・・べつに上手くないけど」 「そうなの?だけど、シュートしてそうに見えるよ」 「そー?・・・ま、やってたけどね。小学生ん時」 「やってたんだ!すごい!すごいね、楽しみ!」 「いや、何年も前の話だから」 (・・・この子、よくわかんないけど変わってんなー。 純粋っつーかなんつーか・・・ リクの知り合いにしちゃ、稀な"いい子ちゃん"じゃん) 鳩美は、物珍しそうに桜の横顔を見ていた。 (・・・何かしんないけど、懐かれてるしね) ま、いいけど。と、鳩美は思った。 試合が終わると、リクはチームとガッツポーズを交わし合っていた。 「すごいね、リクくん! とっても、カッコよかったよ!」 「おー・・・そうかよ」 「お前も、頑張れよ」 「うん!」 桜の初体育は、格別活躍したわけではなかったが、とても楽しんでいたのが見て取れたので リクはとりあえずほっとした。
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