第1話

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「おーら、お前ら席着けー!」 三年次の担任は、テンションの高い体育の和田になった。 まだ26歳だかそのくらいなのに、30代くらいの貫禄がある。 いつもジャージ姿だが、今日はなぜかスーツで、肩のあたりが筋肉で張り破けそうだ。 「リクー、ハルー!和田っちがキレるよー」 朝のホームルーム、いつものごとく、リクは友人何人かとベランダでだべっていた。 「和田っち、腹減ったよー」 「うっせーな、春樹さっさと教室入りやがれ!お前らそのまま締め出すぞ!?」 「和田ー、そのネクタイどこで買ったのー?」 「二番街だよ、お前も早く来いっつーのリク!」 「やだよ教室あちーもん。ここでちゃんと聞いてっからさ」 耐えかねた和田が名簿帳を持ってベランダに飛び出し、全員の頭をひっぱたいた。 「バカやろー!そうやって、去年はみくる先生に迷惑かけてたんだろ! ほら、今日は転校生が来てんだから、紹介してぇんだよ。 ・・・早く入れ、次はゲンコツぶちかますぞ」 「んな怒んなよー」 「何、転校生ー?まじでー?」 ハルを筆頭に、だべっていた5人はだるそうに教室へ戻った。 「あ?昌秋のやつ寝坊かよ」 リクは一番前の自分の席を通り過ぎ、一番後ろに空いた昌秋の席に座った。 文系のクラスは、特進クラス以外、ほとんどが持ち上がりのようなものだ。 リク、春樹、昌秋も去年同様クラスメイトだ。 「転校生どこー?」 「女の子ー?かわいいー?」 「どっから来たのー?」 わいわいする生徒達を無視し、和田は廊下のドアを開けた。 「じゃ、入って」 正直、リクにはあまり興味がわかなかった。 転校生だからって、そんなに騒ぐことじゃないだろうと思う。 と、いうそんなリクの考えは、 ドアから入ってきた少女を見て吹き飛んだ。 思わず椅子を倒して立ち上がった。 異常なリクの反応に、クラス中の顔が振り返る。 しかし、そんなことはどうでもよかった。
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