第1話

7/11
前へ
/11ページ
次へ
キーンコーン カーンコーン… キーンコーン カーンコーーン… 「リク君、音がなったよ。行かなくちゃ」 「…いいよ、このままサボろーぜ。せっかく、会えたんだから」 「え、でも…」 「大丈夫だよ、何か言われたらオレが何とかすっからさ」 「うん…わかった」 そうして、リクは少女―…桜と共に、1時間をそこで過ごした。 休み時間になった時、リクはようやくその教室から出た。 教室を出るとき、少女が最後に言った。 「…最後の花びら。…受け取ってくれて、ありがとうね」 リクは1年半前の、最後の時を思い出した。 あの時握った桜の花びらは、大事にとってある。 母親に頼んだら、綺麗にドライフラワーのしおりにしてくれた。 リクの、小さな宝物だった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加