第1話

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「あっ!それより!!ネギの人!」 自動ドアを抜けて、外に出るが…… 誰もいない 「なんだネギって?」 省吾さんに細かく説明する 「ネギチャン………かわいかった?」 ……ネギチャンって失礼でしょ 病室に戻り、上着や靴下を履いている間に、書類や支払いなど省吾さんに全部やってもらい、車で送ってもらう 「すみません……帰ったら支払いますから」 「いいって……」 カラカラカラ…… ………? 赤ちゃんのオモチャが足元に…… 拾い上げて振ってみる カラカラカラ…… 中に何が入ってるんだろ? 「慎吾君の落とし物ですよ」 「あいつ……音の出るオモチャに、あんま興味ないらしいンだよ」 「へぇ~~」 赤ちゃんのオモチャと言えば、握りやすい、こんな感じの物しか無いような気がするけど…… 慎吾君なりにオモチャを取捨選択してるんだ…… 「慎吾君の趣味は?」 「本の読み聞かせ…… こっちが力尽きるまで聞いてるんだよ~~ まだ、わかってないだろうし…… 童話に俺が飽きちゃったから、こないだ平家物語にしたら、綾子に怒られちゃったよ……ハハハー」 スゲー赤ちゃんだ 「聞いてましたか?」 「うん……今度源氏物語にしてみる」 「綾子さんに睨まれますよ?」 鞄の中には 手付かずの2万20円 親切な人だったな…… 帰ってから省吾さんが全て俺の代わりに話をしてくれた 「しぶしぶではあったが、信じてくれたから……すっぽかしじゃないんだしな……」 すっぽかしを期待していた省吾さんが、いたずらっ子みたいに笑う 情けない 「……省吾さんすみません」
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