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「あっ!それより!!ネギの人!」
自動ドアを抜けて、外に出るが……
誰もいない
「なんだネギって?」
省吾さんに細かく説明する
「ネギチャン………かわいかった?」
……ネギチャンって失礼でしょ
病室に戻り、上着や靴下を履いている間に、書類や支払いなど省吾さんに全部やってもらい、車で送ってもらう
「すみません……帰ったら支払いますから」
「いいって……」
カラカラカラ……
………?
赤ちゃんのオモチャが足元に……
拾い上げて振ってみる
カラカラカラ……
中に何が入ってるんだろ?
「慎吾君の落とし物ですよ」
「あいつ……音の出るオモチャに、あんま興味ないらしいンだよ」
「へぇ~~」
赤ちゃんのオモチャと言えば、握りやすい、こんな感じの物しか無いような気がするけど……
慎吾君なりにオモチャを取捨選択してるんだ……
「慎吾君の趣味は?」
「本の読み聞かせ……
こっちが力尽きるまで聞いてるんだよ~~
まだ、わかってないだろうし……
童話に俺が飽きちゃったから、こないだ平家物語にしたら、綾子に怒られちゃったよ……ハハハー」
スゲー赤ちゃんだ
「聞いてましたか?」
「うん……今度源氏物語にしてみる」
「綾子さんに睨まれますよ?」
鞄の中には
手付かずの2万20円
親切な人だったな……
帰ってから省吾さんが全て俺の代わりに話をしてくれた
「しぶしぶではあったが、信じてくれたから……すっぽかしじゃないんだしな……」
すっぽかしを期待していた省吾さんが、いたずらっ子みたいに笑う
情けない
「……省吾さんすみません」
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