第1話

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「リカちゃん、家どこ?」 「名前、覚えてたのぉ~~?」 そりゃ……まぁ……一応… どーでもよかったけど、名前を知らないで会話を進めるのも失礼だし…… 聞けば、家は茨城…… 実家とかじゃなくて、茨城から来たのかよ? 常磐線の時間……大丈夫なのかな? 「いいよー…電車なくなったら泊まろうよ」 遠慮します ここからタクシーですぐそこだし… 自分の枕が一番寝やすいし…… サクサク前を歩き、駅まで送ってやるために急ぐ 金…無い訳じゃないからタクシー代を渡してもいいんだけど 省吾さんにキッチリ言われてるから 『女に財布の中身を見せるのは、結婚してからだ』……って 釣るのが目的なら、見せてもいいらしい だけど…… 『楽は苦の種』と言ってな? 楽に手に入れた女は、苦労するんだぞーー……って、恐怖のおとぎ話を聞かされた 君を否定はしないよ? 各々、人には良さがある まだ、君の良さを発見できてないけど…… 今の俺には……… ちょっと……違うかなーー? 「気を付けて帰りなねー」 駅まで行って、切符を買って改札を通った彼女の背中に声をかけた バッグを振り回し、何かを喚いてるけど……彼女とは苦労するのが目に見えている 背中を見せて、タクシーを拾いに地上へ上がる
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