第1話

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「どうだった?」 月曜日、レポートの提出を終えた俺に、平川が声を掛けてきた 改札まで送って………それっきり 学食に向かいながら、話す……… 「みっちゃんは、芸能界に入りたいんだって……… お前、コネとかない?」 田舎に連れて帰りたいのに、デビューさせてどーすんだ? 「何?もう就職活動?……って、お前はいいのか…」 平川が俺のスーツ姿を見て言った 俺………午後から見合いなんだよ ……言いたくないから、黙っていた 俺からすれば、やりたい放題の平川が羨ましい 見合いは疲れるから行きたくないんだよ 昔みたいに料理屋とかじゃなくて、ホテルのロビーだから、逃げ出しやすいが…… 小さな『イサワ商会』に嫁に来る気あるのかな? やめといた方がいいよ? まだ学生じゃん? 婚約とか約束されても、この先、何があるかわからないじゃん? そりゃ、婚約したら……結婚したら……頑張りますよ けど……そんな気分でもない 正門を出ると、ポツリ……… 雨だ……… 駅まで走り出した
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