第1話

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車に乗り 後部座席から乗り出し 俺が説明しながら美和子さんのマンションに向かう しかし…… 1度しか来てないのに すごい記憶力だと 自分に感心してしまう 俺も並木と似たり寄ったりじゃん…… ビミョーにへこむ 「慎吾ちゃん、今日はありがとね? 楽しかったわ~~ また、会えるかしら?」 慎吾くんを膝に乗せ 別れを惜しむ ………俺にも言ってくれ まだ帰したくないんだけど~~? 食後にコーヒーも飲んでいないよ ……ていうか 二人の時間は 図書館前から正門までの僅か数分間 チキショー…… 吹き矢でもあればなぁ~~ 斜め後ろから小さく省吾さんの後頭部を睨む テロリスト相手に 原始的な武器で闘いを挑もうとしている自分に…… ………全く気付いていない愚か者 「……そこを右に曲がったら 通りの手前の……アレですよ…わかります? レンガ色のマンショ……… …………………ちょっ……?!」 並木だ!! あのヤロー……… 美和子さんのマンション前で 何やってるんだよ? もう、用はないだろ?! 「省吾さん!通り過ぎて! アイツだよ…… アレがさっき話した並木だよ」 「……あ?……あれか? ずいぶんと、まぁーー…… 『ちび太くん』だなぁ~~?」 勝手に名付けるな! 美和子さんが慎吾くんを抱き締め 小さく俺の影に隠れる 付け加えれば…… 既に、綾子さんが 省吾さんの腹に巻いたダイナマイトの束から ひとつ抜き出し 導火線に着火していることにも気付いていない
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