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車に乗り
後部座席から乗り出し
俺が説明しながら美和子さんのマンションに向かう
しかし……
1度しか来てないのに
すごい記憶力だと
自分に感心してしまう
俺も並木と似たり寄ったりじゃん……
ビミョーにへこむ
「慎吾ちゃん、今日はありがとね?
楽しかったわ~~
また、会えるかしら?」
慎吾くんを膝に乗せ
別れを惜しむ
………俺にも言ってくれ
まだ帰したくないんだけど~~?
食後にコーヒーも飲んでいないよ
……ていうか
二人の時間は
図書館前から正門までの僅か数分間
チキショー……
吹き矢でもあればなぁ~~
斜め後ろから小さく省吾さんの後頭部を睨む
テロリスト相手に
原始的な武器で闘いを挑もうとしている自分に……
………全く気付いていない愚か者
「……そこを右に曲がったら
通りの手前の……アレですよ…わかります?
レンガ色のマンショ………
…………………ちょっ……?!」
並木だ!!
あのヤロー………
美和子さんのマンション前で
何やってるんだよ?
もう、用はないだろ?!
「省吾さん!通り過ぎて!
アイツだよ……
アレがさっき話した並木だよ」
「……あ?……あれか?
ずいぶんと、まぁーー……
『ちび太くん』だなぁ~~?」
勝手に名付けるな!
美和子さんが慎吾くんを抱き締め
小さく俺の影に隠れる
付け加えれば……
既に、綾子さんが
省吾さんの腹に巻いたダイナマイトの束から
ひとつ抜き出し
導火線に着火していることにも気付いていない
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